日本語学をサッと概観にちょうどいい。「やさしい日本語のしくみー日本語学の基礎ー 改訂版」
みなさん、こんにちは。MIKIです。
久しぶりに紙媒体の本を読みました。
あーー‼️
「やさしい日本語」のしくみだと思って注文した本、やさしい「日本語のしくみ」だった‼️表紙のイラスト見て、あれ?と思ったんだよな。庵先生が著者だったから、てっきり。そういえば、日本語学がご専門だったっけ。 pic.twitter.com/Gl7nHvYudr
— MIKI (@okmymiki) October 21, 2020
と読み始める前に、ちょっとしたハプニングがありましたが、興味深い内容でしたのでご紹介します。
この本を読もうと思ったこととか。
私は日本語教師として、外国語としての日本語を留学生や日本語を学びたい人たちに日本語を教えています。日本語を教える上で必要な文法的知識はありましたが、改めて日本語学の基礎を学びたいと思いました。
また、目次から日本語の文法について知りたい人向けだと思いました。そのことから、日本語文法についてどのように説明しているんだろうと興味を持ちました。日本語教師の養成講座やボランティアスタッフの勉強会などで講師をすることも多い立場として、とても気になったので、読み進めてみました。
[chat face=”WERMxLFC_400x400-e1535697946431.jpg” name=”” align=”right” border=”gray” bg=”none” style=””]改めて、日本語のことを考え直したかったの。[/chat]
本書の目次
ブックレビューで目次を公開するのは気がひけるのですが、「日本語」に関心がある方々にはこの目次だけで、ワクワクすると思います。私はワクワクが止まりませんでした😄
チラ見せ。
第1部 日本語の音と形
第2部 日本語の文法
第3部 日本語らしい表現
第4部 日本語の変化と多様性
いかがでしょうか。お好みの話題はありましたか?
全体的な印象として、日本語の文法について興味をなかなか持てない人への説明としてとてもわかりやすく説明されています。詳しく見ていきましょう。
一般書の位置づけ。でも、日本語教師もかなり使える。
日本語教師という立場でこの本を読んだ時、印象的だったのは「五段活用」「一段活用」「カ変」「サ変」という、いわゆる国文法を採用している点でした。ここからわかることは、やはり日本語教師のために書かれた専門書ということではなく、一般向けにわかりやすく書かれた本だということです。
では、日本語教師には物足りないかというとそんなことありません。
[chat face=”question_head_gakuzen_girl.png” name=”” align=”left” border=”green” bg=”none”] 授業中、学生からの質問にちゃんと答えられなかった!! [/chat]
ということ、ありませんか?
そんな時に、本書でさっと確認するといいと思います。
一つの項目について、見開き2ページで説明がされています(内容によっては増えます)。さらに、
(1)こちらは田中さんです。
(2)こちらが田中さんです。
p.56「『は』と『が』」より
こんな感じのボックスにポイントとなる例文が書かれています。休み時間にさくっと確認し、授業で再度、例文を示しながら、学生に説明をすることができます。分厚い文法辞典を参照するより、端的に解説されている本書はかなり使えると思いました。
本書は100ページとちょっとの薄さです。バッグに入れておいても、肩凝りません。
コラムが充実!!共著のメリットを最大限生かしている!
本書は日本語学が専門の先生方の共著です。その共著のメリットを最大限に活かしているのが、コラムではないでしょうか。さまざまな研究者の考えや日本語へのアプローチの仕方がとても興味深いものがあります。
少しご紹介します。
全部で8つのコラムがあるのですが、中でも私が心惹かれ、深く感銘を受けたのは「国語と日本語、母語と母国語」というコラムです。(以下要約)
「国語」という表記には日本人のための科目であるという認識から、海外ルーツの子に対する視点がかけてしまう。「母国語」も同様に、日本で生まれ育った在日コリアン(三世)たちにとって、native language は「日本語」であって、「母国語」ではない。「国」に対してアイデンティティを持っているわけではない。
年少者の日本語教育や地域における日本語教育について、関心を寄せている私にとって、ズンズンと心に響くコラムでした。現在の日本の学校の中で海外ルーツのこの教育を感がていく上で、非常に大事な視点だと思いました。
こんな人におすすめ
- 日本語の文法について、概観しておきたい人。
- 「ら抜き言葉」が気になってしかたない人。
- 授業中、うまく説明できなくて、落ち込んじゃう人。
- 庵先生のファン。
日本語を使うものとして常に自覚的であるべきこと
日頃から「日本語っておもしろい」と思い、日本語教師として日本語を教えていましたが、日本語を教える立場として、そして日本語を使う者としてもあることを常に自覚していなければいけないことにも気づかされました。
それは言葉に潜む「差別」です。この点については、ぜひ本書を読んでいただきたいと思います。
現代は多様な考え、生き方が示されていますが、気づかないうちに言葉を通して、誰かを傷つけているかもしれません。コラムの「花子さんはガンに勝ちました。」も合わせて読んでいただけたらと思っています。
まとめ
読み初めはちょっとした勘違いからでしたが、日本語文法について概観することができました。そして、現代の日本語についての現状をも知ることができました。
本文100ページとちょっとの本書ですが、考えさせられた一冊でした。日本語のしくみについて知りたい方へおすすめできる一冊です。
日本語のおもしろさ、しくみの不思議さに虜になるはずです。